「ケアマネに転職したいけど実際やっていけるのかな?」
資格を取って転職を考え始めると仕事内容や給料の情報は集まっても「実際に飛び込んだ人がどう感じているか」はなかなか見えてこないと思います。
私は大学病院のICU・CCU・救急救命で12年、治験コーディネーター(CRC)として12年働いたあと、2026年から居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして働いています。ちょうど半年が経ったいま想像と違ったこと、大変だったこと、それでも続けている理由を記憶が新しいうちに正直に書き残しておきます。
結論から言うと看護師歴25年の私でも「ゼロからの出発」でした。それでも辞めようとは思っていません。その理由も含めてお話しします。
想像と違ったこと①:紙と電話の世界だった
まず驚いたのがアナログさです。ケアマネの世界は今も紙媒体が中心です。
治験の世界では確認事項はほとんどメールでした。記録が残り相手の都合のいいタイミングで返信してもらえる。それが当たり前だと思っていました。
ケアマネになってからはとにかく電話です。事業所への連絡も、主治医への確認も、ご家族との調整も電話。
しかも相手は高齢の利用者さんやそのご家族が多いので大きな声でゆっくり話す必要があります。夕方には喉が疲れている日もあります。「デスクワーク中心で静かな仕事」というイメージで来ると、このギャップは大きいと思います。
想像と違ったこと②:「担当者がすべて」代わりがいない働き方
半年働いていちばん実感しているのがケアマネは担当者制がすべてという点です。
看護師時代を思い出してください。日勤と夜勤で交代し、担当看護師に加えて受け持ち看護師もいる。自分が休んでも患者さんを看る人は必ずいました。チームで患者さんを支える仕組みが当たり前にありました。
ケアマネにはそれがありません。利用者さんを担当するのは私ひとりです。
体調を崩して急遽モニタリング訪問に行けなくなっても、他のケアマネに代わりに行ってもらうことはできません。自分で利用者さんに連絡し自分で日程を調整し直します。「休んでも仕事が消えない」働き方です。
そして辞めるときはもっと大変です。担当利用者さん全員に新しいケアマネを探し、引き継ぎのために担当者会議を開き、各サービス事業所に連絡する。辞めることすら一大事業なのです。転職を考えている方にはこの「身動きの取りにくさ」は事前に知っておいてほしい点です。
想像と違ったこと③:25年の看護師歴でも「ゼロからの出発」
看護師として25年働いてきて正直それなりに仕事ができるつもりでいましたが、その自信は最初の1か月で崩れました。
まず単語がわからないのです。介護や福祉の現場経験がないので当たり前に飛び交う制度用語やサービスの略語が聞き取れない。医療用語なら何でも来いだった私が会話についていけない。この経験は堪えました。
さらにケアマネはサービス事業所の仲介をすることが多い仕事です。デイサービス、訪問介護、福祉用具、ショートステイ。それぞれの事業所の特徴を知らなければ利用者さんに合った提案ができません。地域にどんな事業所があり、どこが何を得意としているのか。これを覚えるのは知識というより土地勘に近く時間がかかります。
医療の感覚が通用しない場面もあります。つい医療の目線でリスクを並べてしまい、先輩に「それは正しいけど本人はどうしたいって言ってた?」と言われてはっとしたこともあります。正しさより本人の望む暮らしが大事なんです。
想像と違ったこと④:同僚の年齢層がかなり高い
これは意外と語られていない点ですが職場の年齢層はかなり高いです。20代・30代のケアマネはまずいません。40代でも若手という世界です。
考えてみれば当然で、ケアマネは看護や介護の実務経験を積んだうえで資格を取る仕事なので必然的にセカンドキャリアの人が集まります。50代で飛び込んでも「遅い」ということはまったくない職場です。逆に若いうちに病棟のような活気ある職場の雰囲気を求める人には、静かに感じるかもしれません。
給料は本当に安い
給料の話は避けて通れません。本当に安いです。
前職のCRCは正社員でボーナスもあったので単純な比較はできませんが、時給に換算するとマイナス1,000円。25年のキャリアがあってこれか、というのが偽らざる実感です。詳しくは看護師からケアマネに転職すると給料と働き方はどう変わる?にも書いています。
それでも私が続けているのは、この先の道が見えているからです。ケアマネは経験を積んで「主任ケアマネ(主任介護支援専門員)」の資格を取れば、自分で居宅介護支援事業所を開業する道があります。開業には主任ケアマネが必要なので、今はそのための修業期間だと捉えています。「安い給料で消耗する期間」ではなく「独立への投資期間」と考えられるかどうかで、この仕事の見え方は変わると思います。
それでも看護師経験は武器になる
大変なことを並べてきましたが「看護師出身で良かった」と感じる場面もはっきりあります。
- 主治医との連携がスムーズ。医師への報告の仕方、診療情報の読み方が体に入っているので、医療機関とのやりとりで構えずに済みます
- 退院カンファレンスで話が早い。病棟側の事情がわかるので、病院の看護師さん・相談員さんとの調整が噛み合います
- 利用者さんの変化に気づける。訪問時に「少しむくんでいる」「呂律が先月と違う」と気づいて受診につなげられたことが何度かありました。これは看護師出身ケアマネの明確な強みです
介護・福祉の知識はゼロからでも、25年の観察力はゼロにはなりません。
これから目指す人へ:半年時点の私からのアドバイス
看護師からケアマネへの転職を考えている方へ、半年目の実感をまとめます。
- 電話と紙の文化、大声での会話。仕事のスタイルは想像以上に変わります
- 担当者制で代わりがいない働き方です。休み方・辞め方まで含めて考えておいてください
- 何年のキャリアがあっても最初は用語も事業所もわからない「ゼロからの出発」です。それを受け入れられるかが分かれ目です
- 給料は下がります。主任ケアマネ・独立という先の道まで含めてキャリアを設計するのがおすすめです
仕事内容の詳細はケアマネの仕事内容と1日の流れに、試験対策はケアマネ試験の勉強法に書いています。
1年経ったらまた違う景色が見えているかもしれません。そのときはまた正直に書きます。あなたの分岐点のヒントになればうれしいです。


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